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大学生が読んだフリをするらしい小説ランキング一位「重力の虹」

重力の虹 日常
重力の虹
日常
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重力の虹

重力の虹は、1973年に発表されたトマス・ピンチョンの長編小説です。日本語訳は、国書刊行会版と新潮社版があり、国書刊行版は、BABEL国際翻訳大賞、日本翻訳大賞を受賞しています。

重力の虹
重力の虹

国書刊行会版(旧訳)を読みたかったのですが、絶版とのことで、新潮社版を購入。分厚い本で上下巻あります。上下巻で9000円以上。途中で断念したくない。近くのジュンク堂で在庫は1冊だけ、長い間売れていなかったのでしょう。黒っぽい表紙がベタベタに汚れていましたが、購入。

アメリカの大学生が、実際には読んでいないのに読んだフリをしたことのある小説ランキング一位だそう。現代文学の最高峰に君臨しているトマス・ピンチョンの作品、長編な上に難解。なるほど、読んだフリをしたくなる本一位の理由もわかります。

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トマス・ピンチョン

1937年生まれのアメリカの小説家で、ポストモダン文学を代表する小説家です。

1963年「V.」、1966年「競売ナンバー49」、1973年に「重力の虹」を発表。1974年には、全米図書賞を受賞します。また1990年代以降、定期的にノーベル文学賞候補に挙げられている作家です。

しかし、トマス・ピンチョンは公の場に姿を現したことがない覆面作家。1974年の「全米図書賞」の授賞式にはコメディアン俳優を登壇させ物議を醸し、「ハウエルズ賞」選出の時には、「いらないので、どうぞ押し付けないでください」と受賞を拒否しています。

ヒューリッツァー賞はフィクション部門顧問委員会が一致し「重力の虹」を推薦しますが、評議会が「読解不能、大仰で書きすぎ、時に卑猥」という理由で、その年は「受賞者なし」となってしまいます。

※ハウエルズ賞 アメリカ文芸アカデミーより5年に1度、優秀な小説に与えられる賞

トマス・ピンチョンの経歴

1937年 ニューヨーク州ロングアイランド生まれ

1953年 16歳でコーネル大学工学部応用物理工学に入学

1955年 海軍所属

1957年 コーネル大学英文科入学

1959年 学内の文芸雑誌「コーネルライター」で短編「スモールレイン」発表

1963年 「V.」フォークナー賞受賞

1966年 「競売ナンバー49の叫び」ローゼンタール基金賞受賞

1973年 「重力の虹」全米図書賞受賞

1988年「スロー・ラーナー」

1990年 「ヴィンランド」

1997年 「メイスン&ディクスン」

2006年 「逆光」

2009年 「LAヴァイス」

2013年 「Bleeding Edge」

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重力の虹 感想

第二次世界大戦末期のロンドン。連合軍中尉タイロン・スロースロップは女性と関係をもった場所を地図に記載していた。そして必ず、その数日後その場所にドイツのV2ロケットが落ちる。スロースロップはロケットをめぐる謎に引き込まれていきます。

長編な上に理解不能な作品とのことで心得て読み始めましたが、翻訳のお陰か、恐れてたよりも読みやすかったです。1ヵ月半で読了。

確かに、登場呼名が400と多く、長編であり、ストーリーが一定のペースで進んで行くのではないので解り難いですが、一節、一節は止まることなく読み進めて行けます。

当然400の登場呼名は覚えられませんし、解説では「百科事典が語り手を務めている」とあるように、専門用語も多岐に渡り、情報量も豊富です。工学、物理学、化学、人類学、心理学、サブカルチャーなど、ピンチョンの知識量には感服です。作家が書きたいことを書きまくった感もありますが。

解説によると、「重力の虹」は数冊の小説に分離できるとのことです。解説には5つの物語とありますが、いくつかの物語が交差し合い進んでいきます。

大学生が読んだフリをする複雑で難解だと言われる長編小説を読破。まぁ、「読んでみようかな」で何となく読んだので、読破したという感じではないですが。

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